音楽を愛するすべての人たちに、音楽に関わるすべての人たちに呼びかけます。


 私たちは戦争や軍事力の行使に反対し、そこに関わるいかなる行為にも荷担しないことを誓い、それを明確に表明する音楽人の集まりです。私たちが音楽を愛する人間であること、そして、音楽に関わる立場にあるということの他に、私たちに共通しているのはただその一点です。私たち個々人にはそれぞれの思想や宗教、政治的信条や背景があります。さらに、人種や国籍も違うかもしれません。私たちを結びつけているのは世界から戦争をなくし、本当の平和を希求しているということ、そして、それを真正面から発言して具体的な成果を形にしていくということ以外にはありません。

 かつて音楽人が政治や社会問題に関する発言を無意識のうちに、あるいは、意図的に抑制していた時代がありました。が、発言をしないこと、すなわち、沈黙することは、現状を肯定するだけだと私たちは考えます。そういった姿勢が、今、私たちが直面しているような、危機的な政治状況を作り出してしまったのではないでしょうか。その危機とは、世界で最も平和的だとされる憲法がないがしろにされている現状です。それは戦場に自衛隊を送り込むということに始まり、派兵に異議を唱えるだけで様々な個人や団体が公権力による圧力や暴力に直面しているという、民主主義にはあってはならない事態を示します。

 そういった危機的な状況の下、まず私たちは志を同じくする人たち、音楽を愛し、その世界で生きる人たちとの広範なネットワークを作り、様々な意味で発言力を強めていこうと思います。そして、必要とあらば、個々の問題に関して声明を出し、その声明に賛同するミュージシャン、音楽関係者、音楽を愛する人たちを集めていきます。また、こういった声明をより幅広くアピールし、私たちが直面している問題を知ってもらうための運動として、支持してくれるミュージシャンたちとのライヴなどの企画も考えています。

 が、それ以前に、なによりも私たちがここに集まったのは、音楽を愛し、音楽なくしては生きていけないと思っている私たちが、口を閉ざすことなく、様々な問題に対して積極的に発言し、必要があれば、行動していくという意思の表明に他なりません。

 私たちは誰ひとりとしてプロの政治活動家ではありませんし、そうなりたいとも思ってはいません。あくまで音楽を愛する一個の人間として自分たちのできる範囲で、この危機的な状況を変えるためになにかをしようとしているにすぎません。

 すべての音楽人に訴えます。まずは集いましょう。そして、私たちが決して孤立していないことを証明しましょう。また、メディアには流れない本当の情報を交換し、発信しましょう。そのプロセスを通じて、ひとりの人間として積極的に、同時に効果的に発言できる場を作り出しましょう。

非戦音楽人会議設立準備メンバー

大河内美幸(デザイナー)
OTO(ミュージシャン)
小野島大(音楽評論家)
佐藤タイジ(シアターブルック/ミュージシャン)
志田歩(ライター)
中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン / ミュージシャン)
永野かおり(スリーピース/ミュージシャン)
花房浩一(音楽ジャーナリスト)
羽仁カンタ(フラットスペース代表 / A SEED JAPAN理事)
広田奈津子(NGO団体『環音』代表)
(以上、アイウエオ順)